PPTトリートメントは髪を修復しない——その限界と正しい理解

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「PPTトリートメントで髪が修復される」——美容室でよく聞くこの説明、実は科学的に正確ではありません。美容師の立場から、PPT(ポリペプチド)トリートメントの限界を正直にお伝えします。

この記事のポイント

  • PPTは羊毛・羽毛などを強アルカリで溶解して得た加水分解ケラチン——本来の構造は破壊されている
  • 毛髪内部の損傷したケラチン構造を「修復」することは科学的に証明されていない
  • コーティング成分として表面に吸着し、一時的な手触り改善には寄与する
  • PPT理論に頼った施術設計は実態と乖離している可能性がある

PPT(ポリペプチド)とは何か

PPT(polypeptide、ポリペプチド)は、タンパク質を分解して得られるアミノ酸の鎖です。ヘアケア製品に使われるPPTは多くの場合、羊毛・羽毛・爪などのケラチン素材を強アルカリや酵素で溶解・分解して作られます。

ここで重要なのは、「強アルカリで溶解した時点で、ケラチンの高次構造(αヘリックス構造など)は完全に破壊されている」という点です。毛髪のケラチンと分子構造上同一のものではありません。

「修復」ができない理由

損傷した毛髪のケラチンを「補修」するためには、失われたタンパク質が元の位置・構造で再結合する必要があります。現時点の研究では、外部から投与したPPT成分が毛髪細胞と化学的に一体化して内部構造を再形成するという仕組みは証明されていません。

PPT成分は毛髪表面に吸着・コーティングすることはできます。これによって手触りがなめらかになり、ツヤが出ることには意味があります。しかしそれは「コーティング」であり「修復」ではありません。

PPT理論への過信を避ける

施術前後でPPTトリートメントを使用することで「ダメージが補われるから強い薬剤が使える」という考え方には注意が必要です。コーティングは内部ダメージを補うものではなく、施術設計における薬剤コントロールの代替にはなりません。

PPT配合製品が手触りの改善に役立つことは事実ですが、それはあくまで一時的なコーティング効果です。長期的な髪の健康は、薬剤の適切な使用と日常ケアによって守られます。トリートメントや施術についてのご相談はお気軽にどうぞ。

まとめ

PPT(加水分解ケラチン)は強アルカリで製造される過程でケラチン本来の構造が破壊されており、毛髪内部のケラチン構造を修復する仕組みは科学的に証明されていません。一時的なコーティング効果はありますが、それを「修復」と捉えることは正確ではありません。施術設計においてPPTに過度に依存せず、薬剤コントロールを優先することが重要です。

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